【まじめな話】緊張と演奏と
- awake0815
- 6月13日
- 読了時間: 7分
更新日:6月13日
【SQUARE DRUM LAB 飯能市・入間市教室】
今までのブログとは少しテイストを変えて。
自分の実体験を話していこうと思う。
緊張と演奏と
私は「緊張」が嫌いだ。
やってきた事全部、意味のない物にしてくる。
何度も、何度も苦しめられてきた。
最初に緊張を感じたのは高校2年生の夏。
吹奏楽コンクールの西関東大会のこと。
当時ティンパニを演奏していた私は曲の最後、ティンパニのppのロールとコントラバスだけが音を出すという環境で初めて緊張したのだ。
その症状は、左手のコントロール出来ない程の震え。
焦った。「あれ?え?いつもと手の感覚が違う」
ただその時は深く気にする事もなく演奏を終えた。
時は流れ高校3年生。音大への進学を決めていたのでエチュードと呼ばれる曲集を練習していた。
同じパートの同級生や後輩達に聞いてもらおうと数人集めて演奏した時にまた緊張はやってきた。
その時は足がガクガク震えた。
「あれ?まただ‥」
そんな姿を見られて、恥ずかしいなとさえ感じ少しずつ緊張に対して嫌悪感を抱くようになった。
私の母は「ぽっ」と突然、納得するような回答を言ってくることがある。
これ以降の話しの中で色々な緊張との向き合い方の話しをするが結論、私の中では母のその一言が今でも1番腑に落ちている。
話しを戻す。
緊張に対して嫌悪感を抱いた私は何となく母に相談してみた。以前から母は「勝手に手が震えちゃう人」だったので何かわかるかもと思ったからだ。
私『緊張すると手足が震える。焦るんだけどなんなんだろう?』
母『うーん。わからないけど怖いことって知ったからじゃない?』
何か納得した。
確かに、知識や技術、センスを磨くために日々努力した。結果自分の中の好きな音楽や音を理解するようになり、そうなりたい。そう叩きたい。そう音を出したい。と思うようになっていた。
以前よりも知っていることが増え、高みを目指すなかで難しいことや怖いことをどんどん知ってしまったのだろう。
ちなみに母は楽器経験無しだ。
どっからこの回答が出せるのであろう。
自分の子供にこんなこと聞かれても私は答えられない。
大学生になり、緊張は常につきまとう物になってきた。
例えば週1のオーケストラや吹奏楽の授業。
前期後期に行われる実技試験。
もっと言えば週1回あった先生のレッスン。
思い返せば大学4年間は間違いなく緊張から「逃げて」いた。
吹奏楽の授業ではスネアをpくらいで演奏する箇所があった。思うようにコントロール出来ない左手に毎週苦労したし、隣で見ている後輩の目も気になった。
オーケストラの授業ではクラリネットの美しい旋律に、ティンパニで合いの手を入れるような場面で手が震えた。
ただそれらを演奏してる時に私はいつも
「緊張する。震える。頭が真っ白になりそう。こわい。ズレたくない。下手に思われなくない。終われ。終われ。はやく終われ。」
こんなことを考えていた。
今思えば本当に逃げていたと感じる。
でも自分の中で「このままではダメだ」と思い、遂に緊張と対峙することとなる。
大学生活での緊張との対話
私が最初に緊張と向き合った方法は
「緊張を認める」ことだった。
今までは緊張していない自分を作り出そうと必死だったが、辞めた。
「緊張してる。緊張してる。大丈夫。」そう唱えるようにした。
ハッキリ言うと効果は感じなかった。
ただ、このマインドが必要なことはわかった。
次に認めた緊張に対して、「緊張してる」を「興奮している。楽しみになっている」に言い換えた。
これは大きな気づきだった。
緊張をネガティブな言葉とするなら、興奮や楽しみはポジティブな言葉だ。たったこの言葉1つでこうも気持ちに余裕が出るのかと感動したのをよく覚えている。
あとは緊張を感じない程の集中力を身につけることもやってみた。
これはわかりやすい実例がいくつか存在する。
試験1ヶ月前に決めた曲を楽譜を追いながら演奏した時は注意力が散漫し、ミスも多く、何より変な緊張があった。
だが、長期間でじっくり練習した卒業試験においては全く緊張しなかった。それどころか楽しささえあり終わってしまうのが寂しかった。
試験という場を通して余裕を作り出すことが緊張を武器に変えていく手段なのだと知ったのだ。
最後にもう1つ。
私は先生に「緊張しますか?」と聞いたことがある。
即答で「ない」だった。
参考にならなかった。
が、ある時の飲み会の場でこのようなことを言ってもらったことがある。
「上手くやろうとか、認められようとか、そういうことを思うから緊張するんでしょ?」
その通りだと痛感した。
承認欲求の塊みたいな私を見抜いていたのだろうか。
これらを通して緊張から逃げるのではなく、対話し、共存していこうと思うようになったのだ。
大学を卒業して。
大学卒業後すぐにオーケストラのオーディションを受けた。
初めてのオーディションで、自分なりに準備はしたが正直足りてない状態で現地に向かった。
オーディションでは数曲の課題曲演奏と、オーケストラの難しい箇所を抜粋した所を演奏するのだが、演奏中にベルがなったら終了。つまり失格ということだ。
オーケストラに入団するにはまずこのオーディションで全曲演奏をすることが条件である。
その最初に受けたオーディション。
トッププロに聞かれる怖さ、足りてない練習量に、多分自分よりも上手いと思ってしまっている他の受験者。
環境にのまれ、結果大緊張。認めることも、楽しそうと思うことも、上手くやろうとか思わないってことも全部無意味になったのである。
一曲演奏するまでもなくベルが鳴った。
帰りはとことん落ち込んだ。
不甲斐ない自分。4年間で得た緊張との向き合い方が無になっていったこと。安くない交通費を何とか出して高速バスに乗ったのに1曲も演奏出来なかったこと。
緊張をより味方につけない限り、自分にこれ以上は無い。
そう思った帰路だった。
それから試してみたこと。
試してみたことをいくつかあげてみる。
効果は感じたり感じなかったり。
ただ間違いなくどの内容も、即効性は無いし、結果暗示のようなものだなということ。
・カフェインを避ける
コーヒーが好きだが、本番前は避けるようにしている。逆に水を多く飲むように心がけている。
・瞑想してみる
呼吸を整えることで副交感神経を優位に働かせてリラックスさせる方法だ。これは某オーディションの帰りの飛行機で、空港で買った本から学んだ。
やってはみたが自分には合わなかった。
ただ、演奏してるときや特に集中する場面において呼吸を忘れてること知ったのは良い発見だった。
・バチの持ち方を変えてみる 所謂トラディショナルグリップという持ち方にも変えたことがある。今までのグリップでは「嫌なイメージ」がこびりついていたのを払拭させる為だ。ただ左右差ある音色感に自分がなじめずやめてしまった。
異業種からの学び。
私は数年程、楽器演奏から離れて就職していた期間がある。
その時に緊張する場面がいくつかあったが、そこで学んだことがあった。
数ヶ月に一度、店舗内で決意表明をする場があったのだが、緊張しつつも私は「かましてやる。ここにいる全員を呑み込んでやる」と内心思っていた。
このマインドが凄く良かったのか毎回上手くいった。
そして周りからも「良かったよ」と言ってもらえるのが嬉しかったのだ。
それ以外でも研修などの発表も同じようなマインドでやることで、余裕は無いはずなのに不思議と脳内はスッキリしていた。
異業種から学んだこの経験は、私にしか得られない経験だ。
緊張との対話まとめ。
最後に自分の中での緊張との対話方法を整理していく。
緊張するであろう場所が決まった日時で控えている場合を想定してまとめていく。
徹底的に準備をする。不安要素を撲滅する練習。本番当日のイメージトレーニング。
かましていく。自分を認めさせにいく強い気持ち
カフェインを抜く。水とチョコを摂取する。
意識して呼吸をする。
自分を認める
これを更に細分化してかけるが、大きくはこういった流れである。
ただそれでも緊張する。
だけどもう「これが自分」と思えるようになってきた私はとても強い。と思っている。
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